北は日本海、三方を立山連峰や飛騨山脈、両白山地の山々に囲まれた富山県は、日本海側気候で冬の寒さは厳しく、県内全域が豪雪地帯に指定されています。
県内には24の酒蔵があり、県内産の良質な酒造米と良質な雪解け水を仕込み水に使用した造りで、富山のお酒は清涼感溢れる淡麗辛口の味わいが特徴です。また、富山県民が県内産のお酒を飲む割合は、全国トップクラスです。富山の黒部にある銀盤酒造は100年以上続く老舗の酒蔵で「心を酔わす酒造り」を経営理念に酒造りに邁進しています。代表銘柄の「銀盤」は、雪国らしい凛とした味わいに仕上がっています。

富山湾は海の幸の宝庫で、富山湾の王者「氷見の寒ブリ」や富山湾の神秘「ホタルイカ」、富山湾の宝石「シロエビ」などが全国的に有名です。 
郷土料理には「ます寿し」や「かぶら寿し」、ご当地ラーメンでは「富山ブラック・ラーメン」が名物です。ブラック・ラーメンは、だしの旨味がきいた濃い目の醤油スープでご飯のおかずになるように考案されたラーメンです。
また、黒部渓谷の玄関口に、日本有数の透明度を誇る「宇奈月温泉」があります。宇奈月温泉は肌に優しく「美肌の湯」とも言われています。

美肌温泉に浸かって、富山の冬の味覚と地酒とのマッチングを満喫されてはいかがでしょうか。

 ※富山の旅酒最新情報はこちら(旅酒45番)をご参照下さい

     

国内最大の半島である紀伊半島の南西部に位置する和歌山県は、紀伊半島沖を流れる黒潮の影響で温暖な気候ですが、県内の面積のほとんどが紀伊山系を中心とした山林地帯のため、山間部では冬の寒さも厳しくなっています。
現在、県内の酒蔵数は19蔵ですが、宮内庁御用達になっている銘柄もあり、隠れた銘酒の産地としても知られています。和歌山のお酒は、高野山系の伏流水を仕込み水に使用した造りで、コクのある濃醇な味わいが特徴です。和歌山の旅酒の蔵元、中野 BC※1は日本酒、梅酒、焼酎等の種類の他、梅果汁の生産も行っている酒蔵です。敷地内には約3000坪の日本庭園があり、四季折々の風景を楽しめます。酒蔵、梅酒蔵の見学もできます。

旅酒は、和歌山マリーナシティ内の「黒潮市場」※2で販売されています。黒潮市場は、日本各地から直送されてくる新鮮な魚介類から地元・和歌山の近海物まで品揃え豊富な市場で、毎日開催される「まぐろの解体ショー」が名物になっています。
和歌山の郷土料理には、味付けした高菜の葉でご飯を包んだ、目を見張るほど大きな口を開けて食べることからその名がついた「めはりずし」や「サバのなれ寿司」、「サンマ寿司」などがあります。ご当地ラーメンでは「和歌山ラーメン」が人気です。
また、和歌山は梅の産地で有名ですが、みかん、伊予柑、夏みかん、柿に枇杷などのフルーツ栽培が盛んで、「果樹王国」とも言われています。

※1 ※2 いずれも訪問された2020年1月時点の情報です。 最新情報はこちら(旅酒33番)をご参照下さい。

   

熊本県は、県内全域が太平洋側気候に属し温暖な気候ですが、冬と夏の寒暑の差は厳しく、冬場の気温は寒冷です。「火の国」熊本には、白川水源や菊池水源をはじめとした名水がたくさんあり「水の国」とも言われています。

  



熊本と言えば「球磨焼酎」のイメージが強いですが、豊かな水に恵まれた熊本では、古くから日本酒の酒造りも盛んに行われていました。特に、もろみを搾る前に木炭を入れる手法で造られる「赤酒」は酒造りのルーツになっています。現在、県北地域を中心に12の酒蔵がありますが、「協会9号酵母」は熊本が発祥の地で、大吟醸ブームの火付け役となりました。

また、県南部の人吉・球磨地域には24の焼酎蔵があります。国際的ブランドの「球磨焼酎」は、アメリカの「バーボン」やスコットランドの「スコッチウイスキー」、フランスの「コニャック」「シャンパーニュ」と同じ文化的価値があります。


  


熊本の代表的な郷土料理と言えば、「馬刺し」に「辛子レンコン」、「太平燕」、「熊本ラーメン」、「高菜めし」などがあります。
また、熊本には全国に知られる「黒川温泉」をはじめ「人吉温泉」や天草の「下田温泉」、八千代座がある「山鹿温泉」などの温泉地があります。また、県内最古の温泉地に「日奈久温泉」がありますが、お勧めの宿は老舗旅館の「金波楼」です。
地元八代産の「晩白柚」を湯船に浮かべた日奈久温泉の冬の風物詩「晩白柚・風呂」に浸かって、リフレッシュされてはいかがでしょうか。

前回に引き続きまして・・・
私がふだん楽しんでいる熟成酒と料理のペアリングを1つご紹介させていただきます。


◆ お酒について
今回紹介するお酒は、秋田県の酒蔵さんが造る「加温熟成解脱酒」というお酒です。
ラベルが非常にユニークで、エ○ァラベルとも呼ばれています。
製法もユニークで、意図的に加温させることにより短期間で積算温度を高めて、半年の熟成期間で10年熟成の味わいを再現されています。

◆ お酒のテイスティング
上立ち香りは、味醂・べっこう飴・蜂蜜のような甘い香りがし、チーズや発酵バターのような発酵臭を感じます。
レモンシロップのような爽やかな香りもほのかに感じます。
味わいは、優しく上品な甘さ。
甘味主体で苦味はほとんど無く、やや酸味を感じます。

◆ 合わせた料理
「春菊と紅玉のサラダ」を合わせてみました。
甘さが際立っているものの軽さのある酒だったので、サラダに合うのではないかと考えました。
お酒の甘み、春菊の苦味、紅玉の酸味、ドレッシングのオイリーさが見事に調和していて、サラダもお酒もぐいぐい進んでしまいました。笑
これこそペアリング!?笑

熟成酒は
日本酒の個性と多様性を広げる一つのカテゴリーです。
地酒・新酒・熟成酒・・・いろんな日本酒があるから楽しいですね。

日本酒をもっともっと知って、楽しんでいきたいものです。
五十嵐 恵理(料理家・野菜料理愛好家)

「熟成酒」
琥珀色に輝く色
べっこう飴や蜂蜜のような甘い香り
口に含むと、優しく上品な甘さが口いっぱいに広がり、幸福感が湧き上がる…


「これが、日本酒なのか…」

私の熟成酒との出会いはイナズマに打たれたような衝撃的なものでした。
日本酒からここまで強烈な“個性“を感じたのは初めてだったからです。

そして、
日本酒はもっと“多様性“を楽しむものであっていいと感じました。

そこから私は、SAKEDIPLOMAの相方と共に、
熟成酒と料理のペアリングをふだんの食卓で楽しむようになりました。

私の生まれは酒蔵数日本一を誇る新潟県。
日本酒は小さい頃から身近な存在でした。
成人するとすぐに日本酒も飲んでみましたが
結局20代の頃よく飲んでいたのはワインやビール。
ワインやクラフトビールのように日本酒にもっと個性、
すなわち“キャラ“が際立っていれば違っていたのかもしれません。

でも「熟成酒」の“個性“に気づいてしまった私は
今や毎日が日本酒。
ワインやビールはたまに嗜む程度と、一変してしまいました…笑

「日本酒の個性を探究する」という気持ちは、
旅酒の発信する「地酒」を楽しむ気持ちと同じです。

「お!日本酒ってこんなに面白かったんだ!」と、
胸キュンし、日本酒にトキメク瞬間がこれを読んでくださった方も味わえますように…。
そして、もっと日本酒を愛する日本人が増えますように…

と願いを込めて、
次回は、私がふだん楽しんでいる熟成酒と料理のペアリングを1つご紹介させていただきます。

(次回に続く)

仕事の関係で、日本全国を飛び回っていた頃、
各地の居酒屋に入って、その地の地酒を飲むのが楽しみだった。

同僚が出張に出かける時、その時のうまかった地酒を頼もうとすると、
いつも名前が出てこない。どこの地酒も、名前が難しい。

その点、旅酒はその地に1種類しかないし、名前も
日光なら日光、湯布院なら湯布院と名前がついていて、とてもありがたい。

しかし、同僚が僕のお願いを覚えていて、お土産を買ってきてくれたことは、一度もない。

 
 
TVで居酒屋の番組がいくつか放送されています。
例えば、太田和彦さんの「ふらり旅 いい酒・いい肴」、きたろうさんの「夕焼け酒場」、
吉田類さんの「酒場放浪記」など。
 
どのお店も行ってみたいと思う番組構成になっていますが、私が店選びで最も重視しているのは、
店主の人柄や居酒屋経営のこだわりがはっきり伝わるお店です。
それに加えて、店主の大将や女将さんがお酒を飲めることです。

お店によっては、大将の料理の腕は申し分ないのですが、実は下戸だったり。
そこは、奥様が利き酒師の免許をとって内助の功でサポートしている店もありますが、
やはり私が居酒屋選びの条件にしていることは、
まず店主がお酒を飲めること、お酒談義ができることです。
 

 
そのようなお店が見つかりますと、そのお店のお酒と料理との相性は抜群でしょうし、
また、お酒の紹介に止まらずその奥にある造り手の話も聞けるようになり、
いつしかその店の常連さんになっていることでしょう。

「いい居酒屋」で、お酒を通じて造り手という人との出会いが、少しずつ増えていくのも楽しみの一つです。
全国には日本酒の酒蔵だけで 1400以上、銘柄数にして 1 万以上あると言われています。
私たちが生涯出会えるお酒は、そのうち一体どれほどあるでしょうか。
家の近くのスーパーで買い物ついでにお酒売り場を眺めていてもお酒との出会いは限定的です。
やはり居酒屋などの飲食店や酒屋の店主から勧められて出会うお酒がほとんだと思います。
 

今までにお酒と向き合って来て、お酒との出会いの場を与えてもらったのは、やはり
「いい居酒屋」や「いい酒屋」、飲食店や酒販店主催の「お酒の会」などでした。
最初は飲食店でお酒を飲むだけ、飲み進んでいくうちにそのお酒が欲しくなり
酒屋に足を運ぶようになり、最終的にはそのお酒を造っている人物に会いたくなり、
酒蔵巡りやお酒の会などのイベントに参加するようになります。
 

       
 
次回以降は、「いい居酒屋」「いい酒屋」の見つけ方や過ごし方、
また、酒蔵巡りやお酒の会の楽しみ方や心得などを連載していきたいと思っています。
さらに連載コラムの後半からは、「旅酒」を通じた地酒との出会い、楽しみ方についても
ご紹介していきたいと思っています。

「お酒との出会い=人との出会い」は、私の揺るぎない価値観です。

以上、横倉旅人でした。
世界に創業100年を超える企業がどれだけあるかご存じでしょうか?
調べてみると、2016年当時のデータで80,066社あるとのこと。
その中で、日本の企業数は、なんと33,069社あり、世界全体の41.3%のシェアを占めています。

更に、創業200年以上の企業数に絞って比較してみると
日本の企業は1,340社で、世界全体の65.0%ものシェアを占めます。

正に日本は世界の中で「老舗大国」なのです。ランキング7位には清酒製造業が入っています。
更に業種別に調べてみますと
日本の長寿企業の中で一番数が多い業種はなんと清酒製造業で、
創業100年以上の清酒企業は東京商工リサーチ2012年では763社、帝国データバンク2014年では725社が存在します。

老舗を誇る酒蔵も歴史の流れによる減少は否めません。
1875年(明治8年)当時、約30,000社あった酒蔵数は、1882年(明治15年)酒税による影響下約16,000へ減少。
昭和の初期に8,000へ、戦後は4,000へ減少、2000年に1,977へ、2016年現在は1,405社に減少しています。

日本が誇る老舗大国の中核を占める長寿企業が全国47都道府県の各地に地域の誇り「地酒」としてまだまだ存続しています。

皆さん!
全国各地の地域の長寿企業を守るためにも全国各地を旅して、先祖代々長年守ってきた「地酒」の味比べをしてください。

きっとその旅が人生の良き想い出となることでしょう。
日本酒の原料はお米と米麹と水です。
日本酒の歴史を調べて見ると驚きます。


その歴史は古く、日本に稲作が伝わった縄文末期から弥生時代で
2000年以上前にすでに作られていたと言われています。
神話に残る日本最初の酒はスサノオノミコトが
八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を倒すために酒を作らせたとの話があります。
日本酒の歴史は日本の稲作の歴史と重なり、
日本文化を象徴する地方に数多く拡がる「国酒」の歴史でもあったようです。

皆さんが正月に「お神酒」を頂く習慣や
神社での祭事にお供え物として日本酒が供えられることが示すように、
日本酒は日本の神様と繋ぐ存在でもありました。


地方に存在する多種多様な「地酒」は日本人と共に地方の文化や歴史を育んできた、
まさに悠久のロマンを秘めた酒なのです。