【地酒コラム – 連載中】第51話 ふる里の地酒を愉しむ~山口編

2022/10/27
本州の最西端に位置する山口県は、三方を日本海や瀬戸内海、関門海峡に囲まれており、北部の日本海側では冬の寒さが厳しく、南部は瀬戸内式気候のため温暖な気候です。
現在、日本海や瀬戸内海の沿岸に42の酒蔵が点在しており、山口のお酒は錦川や宇佐川の伏流水を仕込み水に使用した造りで、きめ細やかでやわらかな口当たりの味わいが特徴です。また、近年では、使用する酒造米や仕込み水、酵母の違いで個性的な味わいを楽しめるようになっています。

山口の旅酒の蔵元、岩崎酒造は萩市にある老舗酒蔵で、米本来の味わいを生かした旨味のある酒造りを目指している酒蔵です。代表銘柄に『長陽福娘』がありますが、その由来は創業当時の岩崎家に女子が続けて誕生したことを受けて、子供が福々しい良い子に育つようにと願いを込めて名付けられました。

海、川、山などの豊かな自然に包まれた山口県は、古くから美食の文化が栄えた地域です。代表的な郷土料理に、今では冬の味覚の代表格「ふぐ料理」や「岩国寿司」、「瓦そば」などがあります。「岩国寿司」は、別名“殿様寿司”と呼ばれる押しずしです。「瓦そば」は、良く熱した石州瓦の上に茶そばや錦糸卵などの具材を盛り合わせたお蕎麦です。
古くから栄えた美食王国の山口で、郷土料理と地酒とのマリアージュを堪能されてはいかがでしょうか。