静岡の地酒と言えば、昭和の終わり頃に一世風靡した静岡酵母を使った静岡型吟醸酒がほとんど。 しかし、あえて静岡酵母を使わず、革新的な酒造りにチャレンジし続ける酒蔵がある。 静岡市清水区にある「三和酒造」だ。 三和酒造は県内屈指の老舗蔵元で、創業1686年とその歴史は300年余り。 一度は静岡酵母を使ってみたものの、すでに評価された静岡型吟醸の味ではなく、新しい味を求めた。 世代によって食の好みが異なるように、日本酒の味も進化していかなければ時代に取り残されるという社長の思いがあったのだ。
独自の研究や開発を重ねて2002年に誕生したのが、今や三和酒造の代表銘柄となっている「臥龍梅」。 臥龍梅は静岡型吟醸の淡麗な味わいと違って、華やかな香りや旨味がありながら、すっきりした後味が特徴。 また、小型タンクでの長期低温発酵にこだわり、手間ひまかけて醸される。 伝統の丁寧な酒造りを守りながらも、時代に合わせた新しい酒造りに挑戦する三和酒造。 臥龍梅には、通常の日本酒以外に低アルコールのスパークリング日本酒や梅酒もある。さらに地元コーヒー豆店とコラボした「日本酒の香りがするコーヒー豆」まであるのだから驚きだ。 静岡が産む次世代の日本酒、ぜひその可能性を感じながら味わってほしい。